VS人類の敵!




ある朝、次元が目を覚ますと変なモノがいた。
顔はガスマスクで覆われ、首から足まで隙間の無い服で身を包み、 足はゴム長靴である。
「な、何だ!?」
思わず、マグナムを突きつけると、
「次元ちゃん。オレだよ。オレ。」
ガスマスクの中からくぐもった声がした。
「ルパンか?」
「そうだって言ってるでしょ。その物騒なモンしまってちょうだい。」
「あ、あぁ。」
ゆっくりとマグナムをさげる。
「で、何だって、そんなけったいな格好してやがる。」
「んー。はいよ。これ、よろしく。」
手渡された物を見て、あぜんとする次元。
「何だ、こりゃ!?」
「次元ちゃん、知らないの?モップだよ。モップ。」
それぐらい分かっている。問題は何故モップを渡されたかである。
その時、ドアが開く。
「ルパン、こっちの物はあらかた上げたぞ。」
顔を出したのは五右ェ門だった。
腕まくりされた着物にゴム長靴が絶妙〜に合っていない。
「あ、五右ェ門ちゃん。んじゃ始めよか。」
「だから、何をだよ!」
「そうじに決まっておろうが。」
そうじ?相似、送辞、僧寺、草字、双児…
「掃除か?」
「そう言うこと。はい、これ次元ちゃんの分ね。」
ルパンの手にあったのは二人と同じゴム長靴。
「……」
ゴム長靴を履き、隣の部屋に行く。
すると、床に置いてあった物が机の上に山の様に積み上げられていた。
ルパンがはたきを手に上から埃を落としていく。
埃がもうもうと舞う。
「ゲホッ。コホッ。ケホッ。」
咳き込みながら横を向くと、五右ェ門はいつのまにかガスマスクをしていた。
まともに喋れそうにないので近くにあった紙に
『俺の分は?』
と書いて五右ェ門に見せる。
すると、五右ェ門は筆を取り出し、何やらさらさらと書きつけた。
くずしてある文字を解読すると、そこには
『字が汚くて読めん。書き直せ。』
とあった。
咳き込みながらなので仕方あるまい。
同じ紙をルパンに見せると、
『ごめん、忘れてた。』
と書き返された。
『は!?』
『悪いけど、そこら辺に埋まってると思うから探して。』
諦め気分で机の上を漁っていると、目の前に紙がズイとばかりに差し出される。
『散らかすな。』
悪かったな!と心の中で毒づいた。
ようやく、ガスマスクを発見し、装着した時には埃落としは終わっていた。
「お前らなぁ〜。」
「あれ?窓、開けるの忘れてたなぁ。」
「うむ、うっかりしておった。」
完全な確信犯である。(五右ェ門はどうか知らないが)
「あのな…」
「あ、次元。バケツに水、くんできてくんない?」
「何で、俺が…」
「お主はまだ何もしていない。」
「分かったよ!」
バケツを持って、次元が出ていく。
「これはどけた方がいいのではないか?」
「そだね。向こうに持っていこうか。」
物を運び出している最中に次元が戻ってきた。
「俺の帽子、蹴るな!」
「大事な物なら床に置いてちゃダメだよ。次元ちゃん?」
ガスマスクを着けた時に置いていたのだ。
「いいから、返せっ!」
「や〜なこった♪」
取っ組み合いを始めた二人の頭上から…

バッシャーン!

全身ずぶ濡れになった二人がそーっと上を見る。
二人に向かって空になったバケツを持った五右ェ門が冷ややかに言った。

「掃除をするんじゃなかったのか?」


【臨時ニュースです。現在、一部地方に限りブリザード発生中です。
 ご注意下さい。臨時ニュースを終わります。】

「…次元ちゃん。掃除をしよう。」
「…そうだな。」
いそいそとモップを手にし隅の方から拭いていく。
時折、五右ェ門の厳しいチェックが入りながらも、 このまま、終わるかと思われたが…
「あらぁ?」
「どうした?ルパン。」
「ゴキちゃんだわ。」
その言葉に動かしていた手を止める次元。
そのまま、ズリズリとドアの方にさがる。
「次元?」
「次元ちゃん?」
次元は怪しむ二人に向かってわめいた。
「俺は、あの茶色くてゴソゴソ動く≪あれ≫が大嫌いなんだっ! あんなモノは人類の敵だっ!!」
「いや、大好き!って奴はあんまりいないだろ。」
次元の主張に冷静につっこむルパン。
「そっちにいったぞ。」
五右ェ門の言葉通り、≪それ≫は次元の方へ着実に進んで行った。
「うわっ!」
マグナムの一撃によってそれは一瞬で滅した。
「次元ちゃん、もう大丈夫だから戻っておいでよ。」
「あぁ。」
元の場所に戻りかけた次元に五右ェ門がボソリと呟く。
「ゴキブリは一匹見たら、五十匹いると思え。」
次の瞬間、次元はドアの外に居た。
「テレポート?」
ルパンの言葉は黙殺された。
五右ェ門が次元の方を向いて言った。
「大丈夫だ。次元。」
「お前が言うなぁ!」
正論である。
「次元ちゃん。そんなに心配なら、ゴキブリホ○ホイかホ○酸ダンゴでも買っておいでよ。」
「そうする。」
立ち去ろうとする次元に
「足元にも一匹居るぞ。」

「ぎゃ〜!」

それはものすごい死闘であったそうな。

【目撃者は語る。
 「いや〜、すごかったですよ。次元ちゃん、あんなに速く動いた事無いんじゃないかな〜。」
 「うむ。拙者も修行が足りぬ。」
 (何か違う、と思いながら賢明にも沈黙を保つインタビュアー。)
 「あの状態の次元に向かって行くのは今津にある某居酒屋で   Gi○nts優勝!って叫ぶより危険だね。」
 (ネタが分からないのでは、と思うインタビュアー。)
 「それはどういう例えなのだ?ルパン。」】



次元は本当はゴキブリ嫌いじゃないかも知れません。
というより、たぶんちがうでしょう。
後半部分、五右ェ門が性格悪です。
自分で書いてて、誰?って感じでした。
ちなみに文章中にある某居酒屋とは、巨人ファン立ち入り禁止店です。
おそらく、叫べば半殺しが待っているでしょう。
ちなみに作者はどこのファンでも無いです。
ここまでお読み下さった方、ありがとうございました。


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