部屋争奪戦!




「あぁ、もう!雨が降ってきたじゃないの!」
「こっちって言ったのは不二子ちゃんじゃない。」
舗装のされていないガタガタ道をFIATとハーレーが走っていく。
「嵐になるな。」
ボソリとつぶやく五右ェ門。
「こりゃ、野宿はヤバいんじゃない?」
「んな事、言ったってこんな所に屋根なんか…あった。」
その次元の言葉にそちらを向く三人。
「おい、ハンドル!」
「大丈夫、大丈夫。」
「俺はこんな所で死にたくねぇ!」
「だから大丈夫だって。」
五右ェ門が二人を無視して言った。
「確かに屋根だが…大丈夫か?」
それは今にも崩れ落ちそうなボロ屋だった。
その前にFIATとハーレーを止め、門を押す。
思った通り、壮絶な音を立てて門は開いた。
耳を押さえていた手を離し、門の中へ入りながらルパンが言った。
「な〜んか、化けて出そうでな〜い?」
「うらめしや〜ってか?」
「やめてよ!気色悪い。」
「どうでもいいが、入るぞ。」
ドアがきしみながら開く。
「こんにちは〜ってこんばんはか。」
「誰もいないんじゃないか?」
「とりあえず入りましょうよ。外よりマシよ。」
「階段がある。」
階段の方へ向かった一同の後ろからヒタヒタという足音が…
「おでましって訳か?」
「何者だ!」
斬鉄剣を構える五右ェ門。
「その言いぐさは無いんじゃないかい。」
相手が姿を現したとたん
「きゃ〜!」
「なっ!おのれ化け物め!」
「あ〜れま。」
「あんた人間か?」
相手は人間国宝級の老婆だった。
しかも、老婆が下げているランプの灯で照らし出されてかなりコワイ。
遊園地のお化け屋敷で雇ってもらえるコワさだ。
「失礼だね。若いモンは。」
((((いや、そっちが…))))
「ここは、ばーさんの家かい?」
次元が尋ねる。
「宿屋だよ。」
((((こ、これが…!?))))
「んじゃ、部屋があるのか?」
「二つ、あいてるよ。」
「泊まれるの?」
次元を押しのけるようにして聞く不二子に老婆がそっけなく
「泊まれなかったら宿屋じゃないだろ。」
((((いや、見えない…))))
つくづく失礼な四人組である。
「案内していただけるか?御老人。」
「いいよ。ついといで。」
二階に上がっていく老婆に素直に続く四人。
しかし…
「がっ!」
バキッという音とともに声がする。
「何!?」
「どうした!次元!」
「ゆ、床が抜けた…」
「「「な…」」」
思わず絶句する一同に老婆は当然のように
「あぁ、気をつけておくれよ。年代物だからねぇ。」
と言った。
((((古いだけじゃ…))))
部屋もやっぱりボロかった。
「「「「……」」」」
「ここだよ。夕食は後で持ってきてあげるよ。」
「あ、どーも。」
「かたじけない。」
老婆が立ち去った後、
「あの部屋、一人ずつが限度ね。」
「そ〜んなに狭い訳?」
「あぁ、それに、それ以上入ると床が抜けるぜ。」
「まことか?」
「99.9999%は確実ね。私、一部屋使うから。よろしくね。」
そう言うとあっさり部屋に入る不二子。
「そりゃないよ。不二子ちゃん。」
「あら、レディース・ファーストでしょ?」
ルパンの目の前でドアはギギ―ッと音を立てて閉まった。
ため息をつくルパンに次元が肩をすくめる。
「仕方あるまいな。」
「あと一部屋、誰が使うんだ?」
「んじゃ、最初はグー!じゃんけんぽん!あいこでしょ!あいこで…」
こういう時に限って何故か異様にあいこが続くのだ。
「こうなりゃ、腕ずくだな。」
何故かムキになっている三人。それぞれ武器を構える。
このまま、闘いへ流れ込むかと思われたその時!

床がミシリと鳴った。

「「「……」」」
「やめようぜ。こりゃ、床が抜ける方が先だ。」
「同感だ。」
「そうね。」
そこに夕食を持った老婆が現れた。
「ほら、お食べ。」
と固そうなパンと水差しに入った水を床に置く。
「ありがとよ。」
「あんまりミシミシいわすんじゃないよ。暇ならほれ、これでも使いな。」
そう言って、封の切られてないカード一式を投げ渡す。
「こいつはばーさんが使うのかい?」
「前の客が忘れていったのさ。」
「こんな所まで客人が来るのか?」
「現にあんたらが来てるじゃないか。」
「違いねぇ。」
老婆が用は済んだとばかりに降りていく。
それを見送り、
「この際、ポーカーで決めない?」
「なら、お前が配りな。」
「一回交換ね。」
「少なくないか?」
「だらだらするのも何でしょ。」
「拙者はかまわん。」
「じゃ、そういう事で。」
手際良くルパンがカードを配り終わり、それぞれ無言でカードを交換していく。
「ツー・ペアだ。」
「くそっ!ブタだ!」
「ふふん、ストレート・フラッシュ。」
「な、本当か?」
ルパンの手札を除き込む次元。
そこには、スペードの2から6までが並んでいた。
と、五右ェ門がルパンの方に手を伸ばした。
「いかさまだ。」
ルパンの衿の裏からハートの7とダイヤの9を引き出す。
「あら〜、五右ェ門ちゃん手品?」
「お前〜。」
「やり直しだな。」
「次は五回勝負にしようぜ。」
「え〜。」
「次は真面目にやれ。」
「努力はして…」
「やれったらやれ!」
「分かったってば。そんなに怒んないでよ。五右ェ門ちゃんもにらまない。」
「誰のせいだと…!」
「お主が悪い。」
「まあまあ。」
「そもそも、お前はなぁ…」

翌日
「へっくしょん!」
さっきから、ずっとくしゃみをしている三人を見て、FIATの横を走りながら不二子が呆れたように言う。
「毛布も着ないで、濡れたまま廊下で寝たら風邪引くに決まってるじゃない。」
「あれ〜?バカは風邪を引かないはずなのにな〜。」
「それは拙者が馬鹿だと言いたいのか…?」
斬鉄剣を抜こうとしているのが、バックミラーごしに見える。
「や、やだな〜。ちがうって。」
「じゃあ俺か?」
それを聞き、不二子が断言する。
「あんた達、三人ともバカよ!」
こんな会話をしていた為、四人は気づかなかった。
ボロ屋が消え失せている事に…

Fin



闘いじゃありませんね…
無駄にカッコや…が多いですし、未熟ですいません。
これからも頑張りますので…


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