ルパンファンアート界モノカキ対談『三人寄らば文殊の筆致』
光路郎・高峰春珂・柊けいこ



カタバミ : ルパンファンアート祭『闘祭』対談部門の殿を華々しく飾るのは光路郎さん・高峰春珂さん・柊けいこさんのお三方によるルパンサイト界物書き対談、題して『三人寄らば文殊の筆致対談』です!
お三方へのご質問は、前もってアンケートを実施させていただき、その中から人数の多かったものをあらかじめ選ばせていただきました。
司会は僭越ながら私、カタバミが務めさせていただきます。
えーと、ではまずは、お三方の自己紹介から…ということで、軽く、お願いできますでしょうか?
光路郎 : 自己紹介?
えーと、サイトアルルカンの管理人の光路郎(e-1)です。・・・って感じで?
高峰春珂 : もうちょっと何か欲しいなぁ
光路郎 : あぁ…ルパンスキーで、作品は短編が多くて、えーとえーと
・・・何言えばいいのか分からない。しくしく
次行って、次!
高峰春珂 : んー、では。「Heiligen Schein」の高峰春珂です。もはや説明も要らないくらいの流血スキーの次元スキーとして名の知られた極悪モノカキです。作品の傾向は、とにかく次元を苛め……もとい愛しまくっております
柊けいこ : 確かに(笑)
高峰春珂 : いままた新たなる次元いじめの話を書き始めたところで、いつかルパンに殺されることは間違いないと思われます。
では次、けいこさん、どーぞー。
柊けいこ : へい。えー、「言語廃墟」という名前のごとく辺境サイトの管理人をしております。日々、銭=柊けいこの公式を広めるべく、警部中心の短編・長編に勤しんでおります。よろしく。
あ、もちろん怪盗と相棒の組み合わせも大好きです。
カタバミ : はい(笑) ありがとうございます。では、早速で質問のほうに移らせていただきます。
柊けいこ : どんとこい!
カタバミ : まず、「一番最初に書かれたルパンモノ」について。動機は、何だったのでしょうか?
高峰春珂 : えーと、一番最初に書いたルパンものと言えば、例の長編「Resurrection」です。書いた動機は、ズバリ「神様が降りてきたから」です。
柊けいこ : あー、私もそうなんです
高峰春珂 : もう今までに経験したことがないくらい、の鮮やかさで映像が頭の中に降りてきて、これがいわゆる「神様が来た!」っていう感覚なんだと感動を覚え、妄想と煩悩の突き進むままに書き進めたのが「Resurrection」だったんです。
これを書いてなかったら、私はルパンものに手を染めていなかっただろうと思われるくらい、私にとっては運命とも言える作品ですね。
カタバミ : んー…「神様がルパンに降りてきた理由」なんかで、心当たりはありはりますか?
高峰春珂 : なんでしょうねーその年のテレスペでルパン熱が再燃して、それからビデオを片っ端から借りて来て、来る日も来る日もルパン漬けの生活を送ってるうちに……って感じですか
柊けいこ : 皆、ルパンに一目ぼれ説(笑)。
カタバミ : その年のテレスペというのは…ファーストコンタクトですか?
高峰春珂 : そうです、ファーストコンタクトで再燃したんですー
テレスペを見た後でテレビシリーズのビデオを見倒してたので、どうしても山田さんとクリカンさんを比べてしまって……クリカンの声なんか認めねえ!とか最初思ってたんですけど、あるときふっとクリカンさんの声が自然に聞こえてきた時があって、そこから……って感じですね。で、最初、次元が二代目を激しく拒否ってたじゃないですか、アレは実は私の声を代弁した部分があるという……
光路郎 : あー、分かるかも。
柊けいこ : 私、ハマった時はクリカンだったなぁ。
カタバミ : それは、けいこさん、栗田さんから入られた・ということですが、創作に踏み出されたきっかけも、そのあたりで?
柊けいこ : いーえー、違うんですよ。あれは、忘れもしない高校二年の夏休みだったのですがね。八月五日の夏祭りの夜、寝ていたら急に、「TRYANGLE?」という話が降ってきたんです。
光路郎 : ・・・やっぱり降ってきたのか(^^)
柊けいこ : 今でも不思議なんですけど、「ルパンを書け!」と脳内で命令が(笑)。
そのあと、一週間で5つ話を書いた。 んでもって、ずるずると今まで…。
光路郎 : すげっ!
柊けいこ : 「A white Lie」なんかも、そのときに書いたものです。 一週間で本の原稿…今じゃ考えられん。よぼよぼ。
高峰春珂 : 私も何かに突き動かされるように、それこそ取り憑かれたよーにりざれく書いてましたから。私も調子いい時は毎日連続UPしてましたしねぇ。
カタバミ : ふむ…では、光路郎さんはどうでしょう?
光路郎 : 私はそうすると、一番古いですねえ。
今はなきルパコネとゆー、もう今考えるととんでもないところになぜか所属していたんですけど、そういう同人を見て、面白いな、自分でも書きたいな、と思ったというか、ひょっとして「これぐらい自分でも書ける」と恐れ多いことを思ってしまったのか。
柊けいこ : ルパコネ? 何すか、それ?
光路郎 : ルパンコネクションというFCっすね。アルバトロスって会誌出してて。
柊けいこ : あ、それだったら知ってます。私も、似たようなことやってるから(苦笑)
光路郎 : そこで、旧ル→新ルまでの話を書くことにしたんです。神様が降って来たわけじゃなかったですね。で、それが「FOR FIVE YEARS」っていうシリーズで、前はうちのサイトにもUPしてたんですけど、今見ると、出来は滅茶苦茶悪いです。
カタバミ : やっぱり、一気に全部、ですか? 結構本数があった記憶があるのですが…
光路郎 : ぽつぽつと、何年かに分けて書きました。
高峰春珂 : それ、気に入ってたのに、消しちゃったでしょう……光路郎さん。
柊けいこ : もったいない。
光路郎 : 今のと設定違いますし。五右ヱ門以外。 話とか文章とか、やっぱ拙いですからね。恥ずかしいですよ、あれは。
柊けいこ : でも、昔に書いた話と向き直ると、結構「くわー!」って来ることはありますね。次元の口調が違ったりとか。 抹殺したのもあるv
高峰春珂 : まあ、過去の話が超恥ずかしくて抹殺したくなる気持ちは私にも覚えがありますけど。
となっては、りざれくですら抹殺したい衝動に駆られるときがあるのに、本……まだ出てなっ……
光路郎 : 今だって消したい話あるけど、あれはサイト始めてからの作品だから、諦めてます(^^;
そんで昔数本書いて、急遽サイト始めることになって、あぶ刑事メインのはずがルパンメインになっちゃったんですよ。でもあの頃は、神様が降りてくることなんてなかったなー。
カタバミ : 声の話が出ていますが、光路郎さん、そのあたりについては、ありますかね?  ノーコメントならノーコメントで構いませんので。
光路郎 : クリカンになって私、ルパンから数年離れました。一応、毎年テレスペは録画してたけど、だーっと流して見てるだけだったし。んで、アルカトラズでとっつあんが珍しくカッコよかったですからね(^^) それでハマり直しました。
とゆーか、そのときうっかりビデオ消しちゃって、レンタル楽しみにしてたから、余計に。あのときビデオを消し忘れていなければ、今頃こんなにはなってなかったかも。
柊けいこ : それもまた、運命ってことで。
でもそこいくと、私は最初からルパンメイン…声に関しては、私が一番初めに衝撃を受けた「ワルP」がクリカンでしたからね。
高峰春珂 : 私もりざれくのお陰であっという間にサイトがルパンに侵略され尽くされましたからねー。もともとは乙女ゲームの二次創作サイトだったのに……
カタバミ : 今、ルパン以外の小説という話が出ましたが、ここにいらっしゃる皆様は丁度、ルパン以外でも活動されてますよね?
柊けいこ : はーい。某緑のコートの刑事さんとか、ボクシング漫画になんかにときめいてますv
高峰春珂 : してますが、現時点ではルパン以外は更新停止状態なので何ともかんとも。
カタバミ : 「小説を書くときに気をつけていること」に絡んだ質問としまして、ルパンと、ルパン以外。意識して書かれていることというのは、ありますでしょうか? もしくは、話を思いつくときの思考の違いというようなものは。
光路郎 : 一筋縄ではいかない質問を(^^;
カタバミ : 冷徹なインタビュアーに徹しようと決めて参りましたので(笑) 完成稿に残る部分は、極力、突っ込ませていただきます(イヒヒ)
高峰春珂 : 私は複数の作品に萌えを振り分けるような器用なことが出来ないので(単にキャパが少ないだけと言う説もある)、ルパンを書く時はルパンだけ、他の作品を書く時はその作品だけに萌えを燃焼させます。でないと、それぞれが中途半端な愛の込め方になってしまうので、萌えが低下している時は書きません。
それこそ、ルパンと乙女系ゲームとでは、意識からして完全に切り替えないと書けませんから。でも、切り替えてしまうと、中々戻ってこれなくなるので、今は次元だけに愛をひたすら注いでいる状態です。
柊けいこ : うわっ、高峰さんの職人魂が!←眩しいらしい
高峰春珂 : 去年末はちょっとルパン以外に浮気してましたが、今また次元の元に帰ってきたので、ばんばん苛め……もとい愛を込めて書き倒します〜。
えーと、こんなもんでしょうか?(語りすぎやっちゅーねん)
カタバミ : 切り替え・とおっしゃいましたが、それは意識的になさることはどのあたりまで可能ですか?
高峰春珂 : 意識的に切り替えることは難しいです。だから、切り替えてしまうと戻ってこれないんです。萌えが自然に戻ってくるのをひたすら待つしかなくて。ひとつの作品に対する萌えが上昇すると、それまで萌えていた作品への愛もすーっと低下してしまうので、逆に、萌えていたものに冷や水を浴びせられて萌えが低下すると、その低下した分、別の作品に対する萌えが上昇すると言う……だから、私の萌えの容量って、ある一定の分量しかないんだと思います。それの割合によって、その時何が書けるのかが決定されるんです。
ですので、今現在ルパンに戻ってこれたのは、怪我の功名とでも言うべきでしょうね。年末の一件(詳しくは省きますが)がなかったら、今もまだ浮気中だったはずです。戻ってきてなかったら、この対談そのものすらありえなかったに違いないと……
光路郎 : まあ、たまたま三人揃ったために企画された対談だものねえ。
柊けいこ : 難儀だなぁ…そういうのはないから。←切り替え
私の場合は、感覚です。ある場面やせりふを思いついたとすると、「こいつはこんなこと言わないなぁ、じゃああいつに言わせよう」、みたいな。
カタバミ : それは、思いついた場面ごとにキャラクターを配置する。という捕らえ方で構わないのでしょうか? キャラクターにあわせて作品を作る・というのか、それとも、思いついた設定にあわせてキャラクターを配置する。というのか…?
柊けいこ : うーん…頭の中でもやもや浮かぶんですよね。「あ、ルパンが喋ってる」とか、かと思えば「あ、○井さんがいる」とか(笑)。第三者として、観察している感覚、といいますかね。自分で作り出してはいるものなんですけど。だから、高峰さんのように意識的に切り替えられないとか、そういうのはないです。切り替えようと思えばいつでも切り替えられるし、現に今、並行して話を考えていますし。
カタバミ : 高峰さんのおっしゃられた、たとえば「萌え」のような勢いに乗って・というのは、少ないですか?
柊けいこ : 萌えても、そのときは勢いでは書けませんね。ふとしたとき、それが噴火するの(笑)。
高峰春珂 : それって文章書きとしては理想的ですね。切り替えようと思えばいつでも切り替えられるって言うのは。私はそれが出来なくて、いつも困ってます。
柊けいこ : 理想なのかな?突き進める、というのも、小説書きとしていいと思いますよ。
高峰春珂 : そうですか? 私は意識的に切り替えられるけいこさんの頭の方が羨ましいな……
カタバミ : 切り替え・と、萌え・とが出ましたが、光路郎さんは如何でしょう?
光路郎 : 私はルパン以外ではあぶ刑事、相棒、オリジナル(シナリオ含め)を書いてんですけど、どれも世界観、キャラを大切にしてるつもりです。これから言うことはあくまで心がけてるってことなんで、それが達成できているかどうかは別なんですけどね。
お二人の話を聞いていて色々考えてたのに、いざ打つ段になって飛んでっちゃった(^^; えーっと、世界観、それにキャラ立ち、ですね。これが出来ていれば、大抵の話は書けます。特に二次創作は。頑張れば御家人斬九郎だって書けるかもしんない。
高峰春珂 : そうですね、二次創作においては、世界観を壊さないことと、キャラクターをいかに掴むかが基本ですもんね。
光路郎 : 界観を理解している、を私の場合「萌え」と言い換えることも出来るかもしれないっす。
どれも共通していえることは、物語を書く場合、「書かなければいけない」状況から無理矢理捻り出す事と、「突然神様が降りてきて」書くパターンがありますです。捻り出した場合もその内神様が降りてきて、なんていうか、パズルのようにさくさく形が整っていくんですけど、それで話の大筋はできちゃいますね。もちろん、書いていくうちに変わりますけど。
二次創作に関して気をつけていることは、セリフが羅列しているときにどのセリフを誰が喋ったか、セリフだけを見て分かるようにすること。これ、キャラをどれだけ理解しているかってことにも関係してくると思うんですけど。
高峰春珂 : あ、それは確かに 台詞がずらっと並んでいる時に、これは誰の台詞かっていうのが一目で読者にわかるようにしないといけませんしね。
光路郎 : セリフだけじゃないですけどね。読み手が理解しやすい、一人よがりにならないような文章を心がけているつもりです。
カタバミ : 今、世界観を理解して・という言葉が出ましたが、モノカキには書く対象を「理解」した上で書く人と、「理解」するために書くに人が居るといいますが、光路郎さんの場合は基本的に前者ということで捉えて構わないのでしょうか?
光路郎 : 前者です。ダントツに。そりゃあ、書いていくうちに理解が深まるってことあるかもしれないけど。
柊けいこ : あ、でも私は、ルパン三世だけは、「理解」するために書いている部分もあります。
カタバミ : 高峰さんは、どうでしょう?
高峰春珂 : 私も前者。ルパンと次元に関しては書きはじめる前にキャラは自分の中にかなり完全な形になってました。あとの五右ェ門と不二子と銭さんは、りざれくを書いてる内に理解が深まった感じですね。銭さんなんかは特にそうです。最初、殆ど私の中では陰が薄かったのに、キャラがつかめていくに従って、銭さんの物語への関わり方が物凄く深いものになっていきましたし、だから、本当は、元々銭さんはあそこまで関わる筈じゃなかったんですよ、実は。
光路郎 : 言ってましたねえ、当時も。
カタバミ : ルパンと次元・とおっしゃいましたが、やはり、最初からモノにされていた分、その二人は書きやすかったですか?
また、そういう観点から見て、モノ・にされていた二人に他のメンバーを絡ませることへの抵抗や書き辛さといったものはありますでしょうか?
高峰春珂 : そうですね、特に次元には、殆ど憑依と言っていいほど感情移入してて、次元視点で書いてる時は、自分自身が次元そのものになったような感じでした。ルパンはルパンで、勝手に動いてくれますから、特に考えなくても書き進めていけましたね。
書き辛さ、という点では、五右ェ門がダントツでした。だからりざれくでは影が薄かったわけですけど……今は、ゴエも結構掴めてきてますので、書きにくいと言うことはないです。でも、愛情の込め方が格段に違いますから、出番の少なさは否めませんけど下手にオリキャラを出すよりも、主要メンバーだけで書き進めるのが性にあっていると思います。
カタバミ : けいこさんはルパンと銭形・という組み合わせが多いですが、ルパンと次元・で絡ませるときなどと比べて、留意されている点など、ありますでしょうか?
柊けいこ : そうですねぇ。私、「ルパンは、次元にだけ隠している本性、本音を見せる」と考えていて、やっぱりそういう話を書いてますね。
逆に、「ルパンは銭形には本性を見せたくないと思っているけど、銭さんはそこのところを、実は無意識のうちに感じ取っている」と思い込んでいる節があります。ぶっちゃけた話、次元や銭さんからいかにルパンを描写したところで、ルパンの「本当」の部分は誰にも、書き手の私にさえも解らないので、詰まるところは、どっちの場合でも同じなのかもしれませんが。
高峰春珂 : けいこさんの書かれるルパンは、ちょっとこう、神経質な部分が見え隠れしてると私は感じるんですが……特にグレイシリーズとか見てると。
柊けいこ : 神経質…そうなんですよ、だからそれ、ルパンの話そのものを書き始めたときは、ルパンはもっと冷たい感じだったんですよ。でも、理解を深めてしまい、またグレイシリーズを書き始めたせいか、結構暗い面も抱えるようになっちゃったんですよね。
光路郎 : 私、けいこさんちのルパンは、若いなー、と思うんですけど。
高峰春珂 : 光路郎さんのルパンは言動が異様にかわいい感じがするし、皆それぞれ捕らえ方は微妙に違いますけど、違和感がないっていうのは凄いですよね。
光路郎 : うちのルパンはあれでも多重人格だから(^^;
柊けいこ : ルパンはね、結構「ルパン」なんだと思いますよ。みんな、客観的に見ている部分があるから。
光路郎 : ルパンはキャパシティが広いと思うんですよね。誰が描いてもルパンってのは。それは公式ルパンにも言えることなんですが。
カタバミ : 今、けいこさんが「次元・銭形からルパンを描写する」という言い方をされましたが、ルパンが居て、誰かが居て、それで彼自身を書くことが出来る――と、そういう捕らえ方をしても…?
柊けいこ : そうですね。原作で、あの顔が素顔じゃないということを知っちゃったせいかも。
カタバミ : その今光路郎さんのおっしゃられたキャパシティの広さ・が、他者の目からルパンを描写する・という文章上の幅につながるということでしょうか?
光路郎 : どうかな。でもルパンは割りと書きやすいと思うんですけど。そうじゃないって人もいるみたいですが。
柊けいこ : あんまり、その辺は考えてないんですが。ただ、今までもこの先も、ルパンの視点だけは書かない、というか書けないでしょうね。それは、自分に戒めている部分もあるのですが。
光路郎 : 私、一人称駄目だからなあ(^^;前に試したけど
高峰春珂 : けいこさんはダントツに次元視点、銭形視点が多いですよね。
柊けいこ : 書きやすいからですからね。
高峰春珂 : 私は物語の展開上、ルパン視点に切り替わることもしばしばあるんですけど、私も一人称は苦手ではないですが、三人称の方が書きやすいということは間違いないですね。その時々に応じて視点が切り替えられるという利点があるし。
でも、そう頻繁にころころ視点を切り替えたりはしないです。読者が混乱するから、切り替えるなら一章ごと、あるいは場面展開ごと、というふうにするように心がけてます。
三人称の文章の中に、一人称の文章が入り込むときは、必ずその時の視点になってる人物の心と決まっていますし。
光路郎 : それは読者への配慮でもありますよね。
柊けいこ : 視点の切り替えのタイミングって、小説の技巧にもかかわってくることですよね。難しい。
高峰春珂 : 波に乗って書いていると、その辺は自然に出来るもんです。ここは誰の視点がふさわしいか、っていうのは、物語の流れをつかんでいさえすれば、間違うことはまずないですから。
カタバミ : 視点の移動・と言う点では、光路郎さんはオリジナルキャラ視点にもすんなり移行させることが多いですよね? その踏ん切りというか、意識的にはどうなのでしょうか?
光路郎 : 私は書きづらいキャラって別にないもんで。ただ、レギュラーメンバーだろうが、オリキャラだろうが、必要なければ出したくないんですね。ただそこにいるだけ、っての。そうすると、オリキャラの視点ってのは必要があってやってるわけで・・・当たり前というか、もう自然です。そのオリキャラが雑魚でどうでもよかったら、その視点から書くことはしませんから、これもキャラ立ちの問題ですかね。
カタバミ : 光路郎さんの場合、特に決まったキャラクターやコンビを多用する・というのが浮かばないのですが、 ストーリーとキャラクターに必要があれば、オリジナルキャラもどこどこ出す・ということで?
光路郎 : そですね。
ただ、前はルパンと銭形のコンビが多かったですけど(^^)
ぶっちゃけた話、延々オリキャラで進めて、最後にちょこっとルパンなり次元なり銭サンなり出しても、私はオーケーだと思ってます。それがちゃんと面白ければ、文句あっかー、って(^^) ちょっと乱暴な言い方ですけど。
高峰春珂 : そのオリキャラがちゃんとルパンの世界に溶け込んでいて、違和感がなくて、その上で面白ければオールオッケーってことですよね。それが出来なくて、私はオリキャラを出せずにいるんですが…そういう点に関しては、本当に光路郎さんには敵わないなぁっていつも思うんですよ。
柊けいこ : 私は、長編を書いちゃってますが…オリキャラで。
カタバミ : けいこさんは、オリジナルキャラについて、どういった見解をお持ちでしょうか?
柊けいこ : おふた方が言ったように、そのキャラが、物語の上で必要なものてあったら、出しても構わないと思います。数ある二次創作のジャンルで、それが可能なのは、結構稀ですから。そういう意味では、書き手の技量をすごく試されるジャンルだと思います。
光路郎 : 確かに珍しいジャンルかも。
柊けいこ : そう。限りなく、「自分のもの」に近い話を書けるんですよね。オリキャラを出せる。過去を作れる。書いていて、楽しいんですよね。ルパンという、偉大な基盤があってこそなんですが。
カタバミ : けいこさんの描かれているほかのジャンル作品では、オリキャラについての観念がルパンとはやはり違いますか?
柊けいこ : 違いますね。ほかのジャンルだと、原作に書かれていない、コマとコマの間の部分とかを、書く傾向にありますから。
カタバミ : オフィシャル補完・といった観念の懐広さからして違う――ということでしょうか? つまり、ルパンというキャラクターと世界観の自由度の違い・ということでもあるのですが。
柊けいこ : 無国籍ですから、ルパンは。原作で本人が言っているように、何ものにも縛られてない。だから、二次創作という自覚さえ持っていれば、基本的にはどんな話でも書かせてくれる。
高峰春珂 : 私は既存のキャラを深く深く掘り下げてキャラクターを掴むのは比較的得意な方だと思うんですが、オリジナルキャラの人格、過去、その他もろもろを深く掘り下げて考えるのが苦手で……だからオリジナルものが書けないんですけど。 作家としては致命的なんですよ、実際。
光路郎 : まあ、私なんかはシナリオライター目指しちゃってるからそれぐらい出来ないと困るんだけど。
柊けいこ : ですよね。<ライター 私も、遠回りしても…というのはありますし。
高峰春珂 : おふたりは夢を諦めずに叶えてくださいねー
光路郎 : ・・・アイタ(^^;
高峰春珂 : 光路郎さんは、ちゃんと夢に手が届きかけてる位置に立ってるじゃないですか。だから頑張ってくださいよ。
光路郎 : 幻かもしんないですヨ?
高峰春珂 : 私はオリジナルよりも、二次創作が性に合ってるので、こうしてサイトを持って、発表の場さえ保たれていればそれで。
柊けいこ : うん。私も…(遠い目)。
光路郎 : 次行こう、次!
カタバミ : えーと、じゃ、どんな話でも…の、その「広いルパンの懐」の中で書かれた話で、今のところ、一番のお気に入りという作品は、何でしょうか? 只単純に「気に入っている」というだけではなくて、 「○○で●●なところが成功しているから気に入っている」など、理由もあればそこも含めて…お願いします。
高峰春珂 : 一番気に入っている作品は、比較的最近書いた「He does not know yet」ですね。
これ、実は、浮気中に苦し紛れに書いたヤツなんですが、その割には愛情込めて書けたので、気に入ってます。ジャリルパンに40代に間違われて憤慨する29歳の銭さんのシーンとかは、かなり楽しんで書いてました。その後すぐに入る敵(ザコ)キャラと銭さんの立ち回りとか、窓から飛び降りるジャリルパンとか、はっきりとその映像が頭の中にありましたし。
光路郎 : 老けてたんだなあ<二十代銭形
柊けいこ : 29…萌え←て、どうする。
高峰春珂 : いや、年の割には貫禄がありすぎたんだと解釈してます私は。
光路郎 : おお、そうか、貫禄か。今からは想像もつかないぞ、銭サン! 貫禄どっか行って、ほとんど雑魚扱いだもんなあ。くすん。
カタバミ : ルパン達の過去話を書いた・という視点から見ては、いかがでしょう? 気に入っている点、また、これからの課題にされたい点なんかは…?
高峰春珂 : もともと私はジャリルパンの過去話の長編を以前から暖めてて、時間軸としてはこの「He does not know yet」よりも前の話なんですが、それを書くには、どうしてもオリジナルキャラを出さないといけなくて、今回の話には名なしじゃない、名前のついたキャラがちょろっとだけ出てるんですが、そのキャラをもっと掘り下げて書けばよかったかなぁとか……今後、その長編を書くに当たってのテストっぽい部分もあったというか。現時点ではちょっと、そのジャリの長編は形になるのはまだまだ先っぽいんですけど……
カタバミ : けいこさんは、いかがでしょう? どの作品になりますでしょうか?
柊けいこ : 「地の果ては限りなく蒼く」、ですね。
これはもう、書きながら自分で泣いてた…んですよ。恥ずかしい話。
光路郎 : 私、それタイトル滅茶苦茶好きなんですが。
柊けいこ : ありがとうございます〜v←タイトル
高峰春珂 : 泣いたというのは、それだけ、キャラの感情を掴んでたってことなんでは?
柊けいこ : いやね、本当は、高校二年よりもずっと前に、一度ルパンにハマった頃があるんですが、そのときに一度、「原作その後」というのを考えたことがあって、そのときは次元の視点だったのですが、途中で、どうしても書けなくなってしまって、そのままお蔵入りになりかけていたところだったんですよ。それを、何の因果かリクエストであがって。「ああ、これは今なら書ける」ということなのか、と。
光路郎 : それ、うちのリクじゃなくてよかった・・・
高峰春珂 : 同感……
柊けいこ : まぁそれで、やっぱりそのとき自分の中で株の急上昇していた銭さんを主役に据えて、「失った側」を書こうと思った訳なんですよ。穏やかな光景とは対照的に、苦しんで、悩んで、気づいてしまう銭さんを際立たせた、というか。そういうのは、巧く書けたんじゃないかとは思ってます。
失って、初めて存在の大きさに気づくというのは、ありがちかもしれないですが、やっぱりいつまでも変わらずに、魅力的なテーマだと思うんですよね。それが、ちゃんと書けた。
光路郎 : 私には書けんわ、と実感しました。
高峰春珂 : あれ読んで、凄いと思いましたもんね、実際。これはけいこさんが書くべくして書いたもんだとつくづく思いましたよ。
柊けいこ : あわわ、恐縮です。
でも、だからあの話で、私の「銭さんとルパン」の関係は、確立されたと思います。そういう意味でも、書いてよかったと思ってる。書かせてくれたことに、感謝しているというか。
高峰春珂 : 実際、地の果て〜を書かれた辺りからでしたっけ、銭部屋が出来たのって。
柊けいこ : うん、そうです。
カタバミ : では…光路郎さんは?
光路郎 : 今、自分とこのを見直してたんですけど、どうもやっぱり、流血祭の(^^)「ミステリーアイズ」ですかねえ。前々から温めていたネタだったし、いい具合に煮詰まったというか。出だしの五行がね、もう書いてて自画自賛だったもんで。
カタバミ : あれも、オリジナルキャラを出されてましたよね? その点については。
光路郎 : 挿絵のおかげでえらく美人になって有難い限りです。まあ、美人でなきゃルパンは惚れなかったろうけど。
高峰春珂 : フレイアには寅さんがかなり惚れ込んでましたもんねー。
光路郎 : 池本さんには屁扱いされた作品ですが(^^;
柊けいこ : 屁…(汗)。
高峰春珂 : されてないじゃん!あれは池本さん流の褒め方でしょ。
光路郎 : 叙事的な作品じゃないですから、池本さん好みじゃなかったんでしょうね。
カタバミ : 挿絵・と言えば、光路郎&寅三吉。ペアはもはや定石になっておりますが、そのあたり、たとえば、今回の祭作品などで、何かネタはありますでしょうか?
光路郎 : 定石たって、闘祭で組みましょう、というのが最初ですから、一年も経ってないんですが。
高峰春珂 : もともと、話としては闘祭で、っていうのが先だったんですよね、寅&光路郎ペアは それが血祭でも組むことになって、定着しちゃったと言うか。
光路郎 : 闘祭が決まった時点で、あの話書くのは決まってたんで、後は次元とギャランコを描ける人なら、ってことだったんですが、お見事でした、寅さんは。
高峰春珂 : 光路郎さんの文章と、寅さんの挿絵が見事にマッチングしてて、絶妙なバランスでしたよね。
柊けいこ : 息を呑む展開に、読んでいてどきどきしました。
カタバミ : 挿絵を入れられる位置・などというのは、光路郎さんの指定ですか? それとも、寅さんにおまかせで?
光路郎 : こういう絵を描くんだけど、と下書きを頂いて、私が位置を考えて、完成品を頂いて、実際に入れてみて、これでいい?って感じです。出来上がった絵を見て、私が位置を決めましたね、闘祭作品はどちらも。
高峰春珂 : 無精ひげ次元に萌え萌えでしたよー私は もはやアレは寅さんのあの次元でしかビジュアルは浮かばないと言うか。
光路郎 : あれも読む人によっては首を捻るところもあったんでしょうけど。
カタバミ : オリジナルキャラの容姿などについては、何か注文とかは付けられたんでしょうか?
光路郎 : 全然。お任せしたら、見事にイメージどおりでした。大笑いしちゃうぐらい。
カタバミ : モウ一方、リイさんとのコラボもそれは同じで?
光路郎 : 一緒です。
ただ、リイさんの方は最初に頂いた段階で、これはどうか、と注文をつけさせてもらいました。
カタバミ : それは、どのような?
光路郎 : 実は最初、ベルナンドは日本人の設定だったんですが、巽とキャラがかぶったので慌てて外人にしました。 巽がちょっと目立ちすぎていたんで、これはどうかと。
高峰春珂 : ベルナンドといえば……私、彼が出てきた瞬間に「こいつは絶対に死ぬ!」と確信したんですよね。
光路郎 : ちっ、見破られたか。
高峰春珂 : 作者が死ぬのを前提に書いてるキャラって言うのは、絶対に死相が浮いてるもんで、結構わかるもんです。
カタバミ : 一枚目のイラストを勝手に背景にさせていただいたのですが、その点などについては?(笑)
光路郎 : あれはよかったですね〜。思いつきませんでした。
高峰春珂 : 最初は1ページ目だけに背景にしてあったのを、私が独断で全ページに入れちゃったんですよね。
カタバミ : …では、同じくコラボで参加してくださったけいこさん。
柊けいこ : はーい。
カタバミ : 時間軸まで設定されての大作でしたが、構想や、下準備など、大変な時間を割かれたのではありませんか?
柊けいこ : …大作という感じはしなかったんですけどね。でも資料調べが大掛かりだったかも。大まかなプロットと、ラストのやり取りは当初から決めていたのですが、いかんせん国設定が困りましたね。最後まで悩んだんですもの。
カタバミ : イタリアに決まった、決め手というのは、ナンだったのでしょう?
柊けいこ : イタリアは、やっぱりたまたま手元にあったマフィアの資料です(笑)たまたま、いずれ何かの役に立つかもしれないと思って中古で買っていたものなんです。
光路郎 : それ、欲しいな〜
カタバミ : 光路郎さんと質問が被ってしまいますが、えっちょんさんのイラストを入れられる位置や構図などについては、どういったやり取りがあったのでしょうか?
柊けいこ : あれは、えっちょんさんのサイトのチャットから、描いてくれるという話になって。その時点では途中までしか出来上がっていなかったので、とりあえずそれをファイルにアップして、描きたいシーンを選んでもらいました。
カタバミ : その際に、要望などは付けられたりしましたか…??
柊けいこ : なかったです、特に。今、追加で入れていただくものは、「これを描いてほしい」とあらかじめ注文をしていますけど。
まぁ、あの話で書きたかったのは、「今度は、あんたが鬼だよ」という台詞だったりするのですが(笑)。
光路郎 : お、追加で?
柊けいこ : 追加で、描いてもらいます〜v
カタバミ : 今、言わせたかった台詞・と言うものが出ましたが、その台詞を言わせるために、ストーリーを組み立てた…というように取っても?
柊けいこ : そうです。組んだから「今度は」、と言う訳ですから。 「とっつぁんと組む」って話、一度書きたかったのよね。
あと、何人かの方に質問を頂いたの…ここで挙げてもいい?
カタバミ : 今のおはなしに関わることでしたら、お願いします。
柊けいこ : えっとですね、あの話で「ルパンが、とっつぁんと呼んでるのは理由があるのか」という質問だったんです。私は、原作「銭さん」でも一人称を使っているので、あえて「とっつあん」にしているのが不思議だったみたいで。
一応、私の中ではとっつぁんも銭さんも、思考や行動の面では変わりないのですが、「銭さん」はルパンと組まないだろう、というのが理由でして。
光路郎 : あー。原作銭サンは組まなさそう。
高峰春珂 : それ何となくわかる。「とっつぁん」と「銭さん」とでは、ルパンに対する気安さというか、対し方が違う感じしますもんね
柊けいこ : そんな訳で、私の文章では変化を持たせることが出来なかったので、ルパンの呼び名を変えた…とまぁ、単に私が未熟だという話もあるのですが。
はー、言えてすっきりした。
カタバミ : (笑)>すっきりした  では、高峰さん。
今回の話では、次元という男は・という件を頭に入れるか最後に入れるかで随分悩まれたと聞きましたが…?(笑) 最終的に、あの組み立てになった理由など、ありはりますか?
高峰春珂 : そこんとこの理由は特にないんですが……私、いつも短編を書く時は、必ずタイトルの前に何かしら前フリを入れる傾向があるんですよね。それが一行の時もあれば、何行にも及ぶ時とあって様々なんですが、どういう風に導入していけばいいかと思って、つらつらと考えながら書いて、あ、これでいいや、書き進めちゃえ、みたいな……うわ、いい加減(汗)
そこんとこは前フリで長々と書きすぎちゃって、あとで池本さんにツッコまれて焦りましたが。
カタバミ : では、あの部分があることは、構想段階からすでに決まってらっしゃったので? あれそのままを・というのは無いにしろ、あのような短文が・という意味で。
高峰春珂 : いや、構想の時点ではなかったです。 こういう話が書きたいなーっていうのがぼんやりとあって、そこにどうやって入っていくかをまず考えて、前フリをどうしようか、と考えてるうちにああなったというか、短編では何かしら前フリを入れないとしまらないというか……前フリなしでさらっと書ける方は凄いですね、ハイ。
柊けいこ : 前フリって、結構そんな感じですね。私。
光路郎 : あったりなかったりだなあ、私は。
カタバミ : ということは、一点を書くためだけに全体の流れを決めた・というのでは無かった、と捕らえても?
高峰春珂 : 本当はあれ、不二子が出てくるはずだったのに、敵が弱すぎたと言うか、次元の行動が早かったというか、書き進めてる間に「あ、こりゃあ不二子の出番はいらないや」と思ってそのまま全部カットしちゃいましたよ。
光路郎 : そういうの大切だと思います。出したいからって無理矢理出すのもどうかと思うし。
柊けいこ : は、反省…
光路郎 : あれ? 柊さん、無理矢理出してます? そういう感じはしないけど。
柊けいこ : ふ、不二子、かな…出すか出すまいか、最後まで決めかねていたんですが。
光路郎 : 無理矢理だったかなあ?
柊けいこ : 高峰さんのような勇気も必要だったかも…。
高峰春珂 : いやあ、私はもう、下手に長々と書いて話をだらけさせるよりは、スパッと切っちゃった方がいいかと思っただけなんで。
もともと書きたかったのは、「カッコイイ次元」ということと、最後のアジトでのルパンとの短いやり取りだったんで、カッコよかったかどうかは、私的にはいまいち疑問が残るところですが、概ね皆さんから「ちゃんとカッコよかった」とコメントいただけたので、ほっとしました。
カタバミ : なるほどー。
えー…これで予定の質問事項は全て終わったんですが…さぁて、語り足りないこととか?
光路郎 : やっぱ三者三様だなあ、と。
カタバミ : ですね(笑)>三者三様  確かに、当初のテーマどおり、このお三方がそろわれたら、かけない話は無いっていう、その理由のよくわかる内容でしたねv
高峰春珂 : そ、そうかなぁ……ドキドキ 私なんて、不協和音もいいとこ、な気が……
柊けいこ : 他にも、気になる質問はありましたけどね。個人的に、考えてみようかな。
カタバミ : 本日は、みなさま本当にありがとうございましたv


2004年02月21日
光路郎 : アルルカン
高峰春珂 :Black Tornado(Heiligen Schein)
柊けいこ :言語廃墟

インタビュアー、文責:カタバミ
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